肥満症治療薬とダイエット関連医薬品を横並びで読むための三つの軸
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本ページは医薬品・医療の制度と市場を整理したもので、受診や服用を勧めるものではありません。
本ページでは、日本国内で承認・販売されている肥満症治療薬と、体重や腹部の脂肪に関わる効能を持つ医薬品のうち、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の添付文書や製薬会社の公式情報で内容を確認できた9品目を取り上げます。対象は、ウゴービ、ゼップバウンド、マンジャロ、オゼンピック、リベルサス、サノレックス、アライ、そして防風通聖散(医療用と一般用)です。
これらの医薬品を同じ表に並べるときに、最初に見ておきたい軸は三つあります。一つ目は承認効能です。同じ成分でも、セマグルチドはウゴービでは肥満症など、オゼンピックとリベルサスでは2型糖尿病が効能として承認されており、チルゼパチドもゼップバウンドとマンジャロで効能が異なります。二つ目は販売区分です。医療用医薬品は医師の処方が前提で、アライは薬剤師が対面で販売する要指導医薬品、防風通聖散には処方箋医薬品以外の医療用と一般用医薬品の両方があります。三つ目は保険給付と使用条件で、ウゴービとゼップバウンドには最適使用推進ガイドラインに基づく施設・患者の要件が設けられています。
この表は、各製品の添付文書や公式ページにある事実を整理したもので、特定の医薬品の使用や受診を勧めるものではありません。医薬品の使用は医師・薬剤師の判断に従うことが前提です。情報の取り扱い方針は運営者情報・編集方針にまとめています。
【比較表】肥満症治療薬・ダイエット関連医薬品の承認効能と販売区分
| 医薬品名 | 一般名・製薬会社 | 剤形・投与頻度 | 承認効能(添付文書の記載) | 保険適用・使用の条件 | 販売区分 | 販売開始・承認 | 適応外使用に関する公的見解 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ウゴービ皮下注 | セマグルチド(遺伝子組換え)/製造販売元 ノボ ノルディスク ファーマ株式会社(プロモーション提携 住友ファーマ株式会社) | 注射剤(皮下注)・週1回 | 「肥満症 ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。・BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する・BMIが35kg/m2以上」「肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎 ただし、中等度又は高度の線維化を有する場合に限る。」 | 最適使用推進ガイドライン対象品目。上記の効能に該当する場合が対象で、施設・患者の要件は本文の保険適用条件の節を参照。薬価収載は2023年11月22日 | 医療用(劇薬・処方箋医薬品) | 販売開始 2024年2月。2026年6月に肝疾患の効能を追加 | あり:日本肥満学会のステートメント、厚生労働省の2026年6月16日付通知(リンクは本文の公的見解の節) |
| ゼップバウンド皮下注 | チルゼパチド/製造販売元 日本イーライリリー株式会社、販売元 田辺ファーマ株式会社 | 注射剤(アテオス、皮下注)・週1回 | 「肥満症 ただし、高血圧、脂質異常症又は耐糖能障害(2型糖尿病、耐糖能異常等)のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。・BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する・BMIが35kg/m2以上」「中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群 ただし、BMIが27kg/m2以上に該当する場合に限る。」 | 最適使用推進ガイドライン対象品目。添付文書25項に「高血圧、脂質異常症又は耐糖能障害(2型糖尿病、耐糖能異常等)」のうち保険給付の対象は「高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病」の場合に限るとの記載(保医発0518第2号) | 医療用(劇薬・処方箋医薬品) | 販売開始 2025年4月(承認は2024年12月27日)。2026年5月18日に効能を追加 | あり:日本肥満学会のステートメント、厚生労働省の2026年6月16日付通知 |
| マンジャロ皮下注 | チルゼパチド/製造販売元 日本イーライリリー株式会社、販売元 田辺ファーマ株式会社 | 注射剤(アテオス、皮下注)・週1回 | 「2型糖尿病」 | 効能は2型糖尿病のみ。効能に関連する注意として、食事療法・運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮するとの記載 | 医療用(劇薬・処方箋医薬品) | 販売開始 2023年6月 | あり:日本糖尿病学会の見解、厚生労働省の注意喚起ページ、製薬会社の注意喚起 |
| オゼンピック皮下注 | セマグルチド(遺伝子組換え)/製造販売元 ノボ ノルディスク ファーマ株式会社(プロモーション提携 住友ファーマ株式会社) | 注射剤(皮下注)・週1回 | 「2型糖尿病」 | 効能は2型糖尿病のみ。食事療法・運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮するとの記載 | 医療用(劇薬・処方箋医薬品) | 販売開始 2022年5月 | あり:日本糖尿病学会の見解、製薬会社の注意喚起 |
| リベルサス錠 | セマグルチド(遺伝子組換え)/製造販売元 ノボ ノルディスク ファーマ株式会社(販売提携 MSD株式会社) | 経口錠(3mg・7mg・14mg)・1日1回 | 「2型糖尿病」 | 効能は2型糖尿病のみ。食事療法・運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮するとの記載 | 医療用(劇薬・処方箋医薬品) | 販売開始 2021年2月 | あり:日本糖尿病学会の見解、厚生労働省の注意喚起ページ、製薬会社の注意喚起 |
| サノレックス錠 | マジンドール/製造販売元 富士フイルム富山化学株式会社 | 経口錠(0.5mg)・1日1回昼食前 | 「あらかじめ適用した食事療法及び運動療法の効果が不十分な高度肥満症(肥満度が+70%以上又はBMIが35以上)における食事療法及び運動療法の補助」 | 添付文書25項に「厚生労働省告示第97号(平成20年3月19日付)に基づき、投薬期間は1回14日間分を限度」との記載。投与期間は3か月を限度とする旨も用法に記載 | 医療用(劇薬・向精神薬・習慣性医薬品・処方箋医薬品) | 販売開始 1992年9月 | GLP-1に関する見解の対象外。添付文書の警告欄に依存性への留意を記載 |
| アライ | オルリスタット/大正製薬株式会社 | 経口カプセル(1カプセル中オルリスタット60mg)。食事中又は食後1時間以内に服用 | 「腹部が太めな方の内臓脂肪および腹囲の減少(生活習慣改善の取り組みを行っている場合に限る)」注:腹囲(へその高さ)男性85cm以上、女性90cm以上 | 購入には成人(18才以上)で腹囲が男性85cm以上・女性90cm以上、食事・運動など生活習慣改善の取り組みを行っていること等の条件がある(公式サイトの案内) | 要指導医薬品(ダイレクトOTC)。薬剤師のいる薬局・薬店で購入 | 承認 2023年2月17日、発売 2024年4月8日 | 公式サイト参照 |
| ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用) | 防風通聖散エキス/株式会社ツムラ | 顆粒・成人1日7.5gを2~3回に分割し食前又は食間 | 「腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:高血圧の随伴症状(どうき、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみ、便秘」 | 公式サイト参照(医療用漢方製剤のため、保険適用の可否は処方する医師・医療機関で確認) | 医療用(処方せん医薬品以外の医療用医薬品) | 販売開始 1986年10月 | 公式サイト参照 |
| ナイシトールZa(防風通聖散・一般用) | 防風通聖散エキス/小林製薬株式会社 | 錠剤・成人(15歳以上)1回5錠、1日3回、食前又は食間 | 「体力充実して,腹部に皮下脂肪が多く,便秘がちなものの次の諸症:高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘,蓄膿症(副鼻腔炎),湿疹・皮膚炎,ふきでもの(にきび),肥満症」 | 公式サイト参照(一般用医薬品のため購入に処方箋は不要。服用前に添付文書の相談事項を確認) | 一般用医薬品(第2類医薬品) | 公式サイト参照 | 公式サイト参照 |
2026年10月時点、各社公式サイト・公開資料に基づく。最新情報は各社サイトで確認してください。効能欄はPMDAの添付文書または一般用医薬品の添付文書情報の記載を引用しています。販売開始は添付文書の「販売開始年月」の記載です。
比較表の読み方:承認効能、販売区分、保険給付の違いを整理する
表の数字や文言を読むときは、次の点に注意すると誤解が減ります。
- 「ただし」「に限る」で始まる条件まで含めて効能です。ウゴービとゼップバウンドの効能は「肥満症」の一語ではなく、合併する健康障害、食事療法・運動療法で十分な効果が得られないこと、BMIの水準が組み合わさった条件付きの表現になっています。条件の一部だけを切り出すと、承認された範囲と異なる理解につながります。
- 同じ成分でも別の医薬品です。日本肥満学会のステートメントは、ウゴービとゼップバウンドを、2型糖尿病治療薬のオゼンピックやマンジャロと同一成分でありながら、独立した臨床試験で肥満症に対する検証を経た別の製剤と位置づけています。承認効能、用法・用量、使用できる医療機関の要件は、製品ごとの添付文書で確認します。
- 販売区分で入手経路が変わります。医療用医薬品は医師の処方箋に基づいて薬局などで交付されます。要指導医薬品のアライは、薬剤師が対面で情報提供を行い、購入条件を満たしているかを確認したうえで販売される区分です。一般用医薬品の防風通聖散は、第2類医薬品として薬局・ドラッグストアなどで販売されます。販売チャネルの全体像は薬局・ドラッグストア業界のレポートもあわせて参照できます。
- 保険給付の条件は添付文書と通知で決まります。最適使用推進ガイドライン対象品目は、施設要件・患者要件・投与継続の判断基準に沿って使用することが保険償還の前提になります。ゼップバウンドの添付文書25項のように、効能の文言と保険給付の範囲が一致しない場合もあるため、25項や関連通知まで読む必要があります。
- 「販売開始」と「承認」は別の日付です。ウゴービは2023年に承認されたあと、薬価収載を経て2024年2月に販売が始まりました。ゼップバウンドも、2024年12月27日の承認から、2025年3月19日の薬価収載、4月11日の発売へと段階を踏んでいます。
医療機関のサービスや費用の読み方はpage-03(肥満症外来・医療痩身・オンライン診療クリニックの比較)で、広告規制はpage-06(法規制と広告ルール)で扱っています。
各医薬品のプロフィール:添付文書と公式情報から確認できる事実
ウゴービ皮下注(ノボ ノルディスク ファーマ)
ウゴービ皮下注は、セマグルチド(遺伝子組換え)を有効成分とする持続性GLP-1受容体作動薬で、PMDAの添付文書には薬効分類名として「肥満症・MASH治療剤」と記載されています。製造販売元はノボ ノルディスク ファーマ株式会社で、プロモーション提携先は住友ファーマ株式会社です。用法・用量は、成人に0.25mgから投与を開始して週1回皮下注射し、4週間の間隔で0.5mg、1.0mg、1.7mg、2.4mgの順に増量して以降は2.4mgを週1回皮下注射する、なお患者の状態に応じて適宜減量する、と定められています。劇薬・処方箋医薬品で、最適使用推進ガイドライン対象品目です。販売開始は2024年2月で、2026年6月19日に肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎(中等度又は高度の線維化を有する場合に限る)の効能が追加承認されました。
ゼップバウンド皮下注(日本イーライリリー)
ゼップバウンド皮下注は、チルゼパチドを有効成分とする持続性GIP/GLP-1受容体作動薬です。日本イーライリリーの発表では、2024年12月27日に「肥満症」を効能・効果として製造販売承認を取得し、2025年3月19日に薬価基準へ収載、4月11日に発売されました。PMDAの添付文書では、製造販売元が日本イーライリリー株式会社、販売元が田辺ファーマ株式会社と記載されています。肥満症の用法・用量は、週1回2.5mgから開始して4週間の間隔で2.5mgずつ増量し、週1回10mgを皮下注射する、患者の状態に応じて週1回5mgまで減量、又は4週間以上の間隔で2.5mgずつ週1回15mgまで増量できる、という内容です。2026年5月18日には中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の効能が追加され、肥満症の効能に含まれる健康障害に「耐糖能障害」が加わりました。
マンジャロ皮下注(日本イーライリリー)
マンジャロ皮下注は、ゼップバウンドと同じチルゼパチドを有効成分とし、効能は「2型糖尿病」です。PMDAの添付文書によると販売開始は2023年6月で、用法・用量は、週1回5mgを維持用量とし、週1回2.5mgから開始して4週間投与した後に5mgへ増量する、効果不十分な場合は4週間以上の間隔で2.5mgずつ増量でき、最大用量は週1回15mgまで、とされています。用法に関連する注意には、用量依存的な体重減少が認められているため血糖コントロールだけでなく体重減少にも注意し、増量の必要性を慎重に判断することが記載されています。日本イーライリリーは公式ページで、マンジャロが美容目的など2型糖尿病以外の人に使用された場合の有効性および安全性は医学的に確認されていないと案内しています。
オゼンピック皮下注(ノボ ノルディスク ファーマ)
オゼンピック皮下注は、セマグルチド(遺伝子組換え)を有効成分とする2型糖尿病治療剤で、持続性GLP-1受容体作動薬に分類されています。添付文書の販売開始年月は2022年5月、製造販売元はノボ ノルディスク ファーマ株式会社、プロモーション提携は住友ファーマ株式会社です。効能は「2型糖尿病」で、用法・用量は、週1回0.5mgを維持用量とし、週1回0.25mgから開始して4週間投与した後に0.5mgへ増量する、0.5mgを4週間以上投与しても効果不十分な場合には週1回1.0mgまで増量できる、と記載されています。重要な基本的注意として、ウゴービ等の他のセマグルチド(遺伝子組換え)含有製剤と併用しないことが明記されています。ウゴービとは同じ成分ですが、承認効能と用法・用量が異なります。
リベルサス錠(ノボ ノルディスク ファーマ)
リベルサス錠は、セマグルチド(遺伝子組換え)を有効成分とする経口GLP-1受容体作動薬で、効能は「2型糖尿病」です。添付文書の販売開始年月は2021年2月、販売提携先はMSD株式会社です。用法・用量は、1日1回7mgを維持用量として経口投与し、1日1回3mgから開始して4週間以上投与した後に7mgへ増量する、7mgを4週間以上投与しても効果不十分な場合には14mgに増量できる、と記載されています。吸収が胃の内容物により低下することから、1日のうちの最初の食事又は飲水の前に空腹の状態でコップ約半分の水(約120mL以下)とともに服用し、服用後少なくとも30分は飲食や他の薬剤の経口摂取を避けること、14mgの投与時に7mg錠を2錠投与することは避けることが、用法に関連する注意に定められています。
サノレックス錠(富士フイルム富山化学)
サノレックス錠は、マジンドールを有効成分とする食欲抑制剤です。PMDAの添付文書によると製造販売元は富士フイルム富山化学株式会社、販売開始は1992年9月で、劇薬・向精神薬・習慣性医薬品・処方箋医薬品に指定されています。効能は、食事療法及び運動療法の効果が不十分な高度肥満症(肥満度が+70%以上又はBMIが35以上)における補助です。用法は、成人に0.5mg(1錠)を1日1回昼食前に経口投与し、1日最高投与量は1.5mgまで、投与期間はできる限り短期間として3か月を限度とされています。警告欄には、本剤の主要な薬理学的特性がアンフェタミン類と類似しているため、依存性について留意することが記載されています。1992年から販売されている肥満症領域の医薬品で、GLP-1受容体作動薬とは薬理学的な分類が異なります。
アライ(大正製薬)
アライは、有効成分としてオルリスタット60mgを1カプセルに含む、大正製薬株式会社が「内臓脂肪減少薬」の区分で案内している医薬品です。大正製薬は2023年2月17日に、医療用医薬品での発売を経ずに市販されるダイレクトOTCとして製造販売承認を取得し、2024年4月8日に発売したと発表しています。製品区分は要指導医薬品で、薬剤師のいる薬局・薬店でのみ購入できます。公式サイトでは、効能を「腹部が太めな方の内臓脂肪および腹囲の減少(生活習慣改善の取り組みを行っている場合に限る)」と案内し、購入には成人(18才以上)で腹囲(へその高さ)が男性85cm以上・女性90cm以上、食事・運動などの生活習慣改善の取り組みを行っていること等の条件があるとしています。公式サイトには購入前チェックシートや取扱店舗の検索ページも用意されています。
ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用)
ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用)は、株式会社ツムラが製造販売する医療用漢方製剤で、PMDAの添付文書には販売開始年月が1986年10月、規制区分が処方せん医薬品以外の医療用医薬品と記載されています。効能は「腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:高血圧の随伴症状(どうき、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみ、便秘」で、用法は成人1日7.5gを2~3回に分割して食前又は食間に経口投与するものです。重要な基本的注意には、患者の証(体質・症状)を考慮して投与すること、カンゾウを含むため血清カリウム値や血圧値等に留意すること、サンシシ含有製剤の長期投与で腸間膜静脈硬化症があらわれるおそれがあることなどが記載されています。
ナイシトールZa(小林製薬)
ナイシトールZaは、小林製薬株式会社が製造販売する防風通聖散エキス錠で、PMDAの一般用医薬品の添付文書情報ではリスク区分が第2類医薬品とされています。1日量15錠中に防風通聖散エキス5.0gを含み、用法は成人(15歳以上)が1回5錠を1日3回、食前又は食間に服用するものです。効能は「体力充実して,腹部に皮下脂肪が多く,便秘がちなものの次の諸症:高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘,蓄膿症(副鼻腔炎),湿疹・皮膚炎,ふきでもの(にきび),肥満症」と記載されています。小林製薬の公式サイトには、添付文書、成分・分量、使用上の注意、セルフメディケーション税制の対象品に関する案内が掲載されています。医療用の防風通聖散と同じ処方名でも、販売区分と用法・用量が異なります。
ウゴービ・ゼップバウンドの保険適用条件と最適使用推進ガイドラインの内容
ウゴービとゼップバウンドは、いずれも厚生労働省が策定した最適使用推進ガイドラインの対象品目です。このガイドラインは、新しい作用の仕組みをもつ医薬品を、恩恵を受けることが期待される患者に、必要な要件を満たす医療機関で使うことを目的としています。肥満症に関しては、PMDAの最適使用推進ガイドラインの掲載ページで、セマグルチド(肥満症)が2023年11月21日付の通知で作成され、2025年5月と2026年6月に改正されたこと、チルゼパチド(肥満症)が2025年3月18日付の通知で作成され、2026年5月に改正されたことを確認できます。
日本肥満学会は、2023年11月25日に策定し2025年4月10日に改訂したステートメントで、保険適用の考え方を次のように整理しています。まず、肥満症は「肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、その合併が予測され、医学的に減量を必要とする疾患」と定義され、BMIが25kg/m2以上であることだけでは本剤の適応にならないとされています。そのうえで、肥満症と診断され、かつ高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、BMIが27kg/m2以上で2つ以上の健康障害を有する場合、またはBMIが35kg/m2以上の場合に限り適応となり、保険適用となる、という説明です。
同じステートメントの概略では、最適使用推進ガイドラインの要件として、次の内容が示されています。施設については、常勤の管理栄養士による栄養指導ができ、内科、循環器内科、内分泌内科、代謝内科、糖尿病内科の医師が本剤について十分な知識をもつ医師の指導のもとで処方できること、日本循環器学会・日本糖尿病学会・日本内分泌学会のいずれかの教育研修施設であり、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病と肥満症の診療に5年以上の臨床経験をもつ専門医が1人以上常勤していることなどです。患者については、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかの薬物療法を受け、適切な食事療法・運動療法を6か月以上継続したうえで、保険適用の範囲内で処方が可能とされています。投与開始後は2か月に1回以上の栄養指導を含む食事療法・運動療法を続け、体重、血糖、血圧、脂質を確認しながら、ウゴービは最大68週間、ゼップバウンドは72週間の投与が可能と記載されています。
ガイドラインは改正が続いているため、最新の要件は厚生労働省・PMDAの通知で確認する必要があります。2026年にはチルゼパチドの閉塞性睡眠時無呼吸症候群に関するガイドラインが2026年5月18日付で作成され、セマグルチドの代謝機能障害関連脂肪肝炎に関するガイドラインが2026年6月19日付で作成されました。また、ゼップバウンドの効能に「耐糖能障害(2型糖尿病、耐糖能異常等)」が加わった一方で、添付文書25項は保険給付の対象を「高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病」の場合に限っています。効能と保険給付の範囲が異なる点は、制度を読むうえで見落としやすい部分です。
流通面では、2023年11月21日付の厚生労働省事務連絡が、セマグルチド製剤の対象患者と対象医療機関を改めて周知するとともに、卸売販売業者に対して、投与対象以外に使用することが明らかな場合は納入しないことなどを依頼しています。制度全体の経済面はpage-07(ビジネス構造・収益モデル・2026年の動向)で整理しています。
製造販売元と販売元の関係から見る供給体制と流通上の注意
添付文書の「製造販売業者等」の記載をたどると、医薬品ごとに供給体制が異なることがわかります。ウゴービとオゼンピックは、ノボ ノルディスク ファーマが製造販売元で、住友ファーマがプロモーション提携先です。リベルサスはノボ ノルディスク ファーマが製造販売元で、MSDが販売提携先として記載されています。ゼップバウンドとマンジャロは、日本イーライリリーが製造販売元、田辺ファーマが販売元です。承認時の2024年12月の発表では、販売元は田辺三菱製薬株式会社と記載されていましたが、2026年に改訂された添付文書では田辺ファーマ株式会社と記載されています。サノレックスは富士フイルム富山化学、ツムラの防風通聖散はツムラ、アライは大正製薬がそれぞれ製造販売元です。
GLP-1受容体作動薬は、2023年に供給を上回る需要の増加で一部の製剤が限定出荷となりました。厚生労働省は2023年7月28日付と同年11月9日付の事務連絡で、医療機関に買い込みを控えるよう依頼し、卸売販売業者にも糖尿病治療を行う医療機関などへの優先的な供給を求めました。日本医師会も同年10月の記者会見で、会員向けの緊急アンケートに基づき、適応外使用の増加が供給不足の背景にあるという現場の意見を紹介しています。2025年9月10日付の厚生労働省の資料では、リベルサス、オゼンピック、ウゴービ、ビクトーザ、マンジャロ、ゼップバウンド、トルリシティのいずれも「通常出荷」の状況にあると記載されています。供給の状況は変動するため、最新の状況は製薬会社や厚生労働省の情報で確認してください。
オンライン診療を通じた医薬品の処方は、遠隔診療の制度や指針と関わります。制度の詳細は遠隔医療の業界レポートに、ダイエット目的のオンライン診療事業の現況はpage-03にまとめています。
経口GLP-1の動向:海外での承認と国内の状況
国内では、経口のGLP-1受容体作動薬としてリベルサス錠が2型糖尿病を効能として販売されています。肥満症を効能とする経口の製剤については、海外で承認された事例が公表されていますが、国内の状況は別に確認する必要があります。以下は、製薬会社の公表資料とPMDAの承認品目一覧で確認できた事実に限って整理したものです。
- 経口セマグルチド25mg(米国名 Wegovy pill):ノボ ノルディスクは2025年12月22日付の発表で、米国食品医薬品局(FDA)が、1日1回の経口セマグルチド25mgを「体重を減らし、長期的に減量を維持するため、および主要な心血管イベントのリスクを減らすため」の薬として承認したと公表しています。同じ発表では、欧州医薬品庁(EMA)などの規制当局には2025年下半期に申請済みで、承認は審査中と説明されています。国内向けの2025年9月30日付の報道資料は、この経口製剤の第3相試験(OASIS 4)の結果を紹介する翻訳版で、米国の承認申請の状況を述べるものです。
- オルフォルグリプロン(米国名 Foundayo):日本イーライリリーが日本語訳として公表した2026年4月2日付の資料によると、米国リリーは2026年4月1日(米国時間)に、FDAが肥満症を有する成人および過体重で体重に関連する健康障害を有する成人に対する治療薬として承認したと発表しています。この資料には、適応症と安全性重要情報など一部の情報は海外のもので日本の情報ではない、という注記があります。同社の2025年の発表では、体重管理を用途とする承認申請を世界各地の規制当局に2025年末までに提出する予定、2型糖尿病治療薬としての承認申請は2026年から開始する予定とされていました。
- 国内の承認状況:PMDAが公表する2026年度の新医薬品の承認品目一覧(2026年9月16日承認分まで)には、肥満症を効能とする経口GLP-1受容体作動薬の掲載はありません。同じ一覧には、ウゴービの肝疾患の効能追加(2026年6月19日)と、ゼップバウンドの効能追加(2026年5月18日)が掲載されています。ノボ ノルディスク ファーマの開発パイプラインのページには、経口セマグルチドの肥満症が肥満症領域の開発品目として掲載されていますが、国内の承認時期は示されていません。
海外の承認内容は、日本の効能、用法・用量、保険適用を示すものではありません。国内で経口の肥満症治療薬が承認される可能性はありますが、時期や条件は各社とPMDAの公表を待つ必要があります。個人輸入や海外の価格情報をもとに国内の制度を判断することは避け、最新情報はPMDAの承認品目一覧と各社の発表で確認してください。経口剤の登場が市場や価格構造に与える影響は、page-07で事実に基づいて整理しています。
GLP-1受容体作動薬の適応外使用(自由診療)をめぐる公的見解
2型糖尿病や肥満症の治療薬として承認されたGLP-1受容体作動薬等を、美容・痩身・ダイエットを目的として自由診療で処方する事例が、厚生労働省や学会によって繰り返し指摘されています。ここでは使用を勧める意図はなく、学会・医師会・行政・製薬会社がどのような見解を公表しているかを、確認できた範囲で時系列にまとめます。
- 日本糖尿病学会(2020年7月9日、2023年11月28日改訂):一部のクリニック等で、2型糖尿病治療薬を適応外の美容・痩身・ダイエット等を目的として自由診療で処方する医療広告が見られると指摘しています。2020年の見解では、2型糖尿病を有さない日本人における安全性と有効性は確認されていないとし、不適切な広告表示を戒めています。2020年の見解と、2023年の改訂版はPMDAのサイトにも掲載されています。
- 日本医師会(2020年6月、2022年3月、2023年10月の記者会見):2020年の記者会見では、健康な人が医薬品を使用することにはリスクがあり、医薬品の適正使用の観点から禁止すべきだという意見を表明したと、2022年の会見記事に記されています。2023年10月25日の会見資料では、広告で使われる「副作用が少ない」などの表現を科学的根拠に基づかないものとし、重大な副作用に急性膵炎などがあることを示しています。2022年3月の会見記事と2023年10月の会見資料で原文を確認できます。
- 日本肥満学会(ステートメント、2023年11月25日策定・2025年4月10日改訂):ウゴービとゼップバウンドは、健康障害を伴わない肥満に用いるべきではなく、低体重や普通体重など適応外の体重の人に美容・痩身・ダイエット等の目的で用いる薬剤ではない、と明記しています。ステートメントの全文はPMDAのサイトで読めます。
- 厚生労働省:医薬品・医療機器等安全性情報No.406(2023年12月)で、適応外で使用された場合の安全性と有効性は確認されておらず、思わぬ副作用による健康被害につながるおそれがあると周知しました。2026年6月16日には、製造販売業者宛てに医薬安発0616第19号・医政産情企発0616第4号の通知を発出し、同日付で各都道府県等の衛生主管部局長宛てにも適正使用に関する通知を出しています。製造販売業者宛て通知では、一部の医療機関で2型糖尿病および肥満症の治療目的以外の美容や痩身を目的に使用されている実態が確認されていると述べ、卸売販売業者と連携した医療機関・薬局への注意喚起の徹底を依頼しています。通知の原文と、厚生労働省の注意喚起ページで確認できます。
- 医薬品副作用被害救済制度:厚生労働省の注意喚起ページは、救済制度の対象が医薬品を適正な使用目的に従って適正に使用した場合の健康被害に限られるため、美容・痩身・ダイエット等の目的で適応外使用された場合は、重篤な健康被害が生じても救済給付を受けられない可能性が非常に高い、と説明しています。個人間売買についても、インターネット等での売買は違法であると明記しています。
- 製薬会社:ノボ ノルディスク ファーマと日本イーライリリーは2025年4月30日付の連名のお知らせで、2型糖尿病のみを効能・効果として承認を取得している製品を、それ以外の目的で使用した場合の安全性および有効性は確認されておらず、思わぬ健康被害が発現する可能性もあると案内しています(ノボ ノルディスクの掲載ページ)。日本イーライリリーは適正使用に関するページで、肥満症治療においては肥満症治療薬として承認された薬剤を医師の管理・指導のもとで使用するよう依頼しています。
こうした見解をふまえると、本ページの比較表にあるマンジャロ、オゼンピック、リベルサスは2型糖尿病が承認効能であり、ウゴービとゼップバウンドは肥満症が承認効能ですが、いずれも承認された条件の範囲を超えた使用について、公的な機関や学会は懸念を表明しています。広告の表現ルールはpage-06で、医療機関の提供形態はpage-03で整理しています。
一次情報の確認先
本ページの記載は、次の一次情報に基づいています。製品の最新情報や改訂は変更されることがあるため、利用や受診の判断の前に原文を確認してください。
- PMDA 添付文書:ウゴービ、ゼップバウンド、マンジャロ、オゼンピック、リベルサス、サノレックス、ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用)、ナイシトールZa(一般用)
- PMDA 最適使用推進ガイドライン・承認品目一覧:最適使用推進ガイドライン、2026年度承認品目一覧(新医薬品)
- 厚生労働省:GLP-1受容体作動薬等の美容・痩身目的での使用による健康被害に関する注意喚起、2026年6月16日付の製造販売業者宛て通知、医薬品・医療機器等安全性情報No.406
- 学会・医師会:日本糖尿病学会の見解、日本肥満学会のステートメント(初版)、日本医師会の記者会見資料
- 製薬会社:日本イーライリリーのゼップバウンド承認発表(2024年12月27日)、効能追加の発表(2026年6月1日)、ノボ ノルディスクのウゴービ効能追加の発表(2026年6月19日)、経口セマグルチド25mgのFDA承認の発表(2025年12月22日)、オルフォルグリプロンのFDA承認の発表(日本語訳、2026年4月2日)、大正製薬のアライ発売の発表(2024年3月4日)
関連する既存サイトでは、薬局・ドラッグストア業界が要指導医薬品や一般用医薬品の販売チャネルを、遠隔医療がオンライン診療の制度を扱っています。
まとめ:次に読むページ
肥満症治療薬とダイエット関連医薬品は、同じ「体重」に関わる話題でも、承認効能、販売区分、保険給付の条件がそれぞれ異なります。ウゴービとゼップバウンドは肥満症を承認効能とし、最適使用推進ガイドラインに沿って使うことが前提で、マンジャロ、オゼンピック、リベルサスは2型糖尿病の治療薬です。アライは要指導医薬品として購入条件が公式に示され、防風通聖散は医療用と一般用の両方があります。適応外使用については、日本糖尿病学会、日本肥満学会、日本医師会、厚生労働省、製薬会社がそれぞれ見解や注意喚起を公表しています。経口GLP-1の国内承認の状況は、PMDAの承認品目一覧と各社の発表で随時確認する必要があります。
続けて読むページは次のとおりです。市場全体の層別の整理はpage-01(ダイエット市場の全体像と5層構造)、医療機関の診療形態の比較はpage-03(肥満症外来・医療痩身・オンライン診療クリニック)、広告で言える表現・言えない表現はpage-06(法規制と広告ルール)、GLP-1をめぐる収益構造や2026年の動向はpage-07(ビジネス構造・収益モデル)です。サイト全体の入り口はトップページから確認できます。
