診察室の机に置かれた聴診器と問診票、横に開いたノートパソコンにオンライン診療の画面が映る静物写真

MEDICAL DIET LABORATORY

肥満症外来から医療痩身まで、
診療形態を事実項目で並べる。

肥満症外来(保険診療)と自由診療のオンライン診療・医療痩身クリニックを、運営法人や診療形態、解約規定などの事実項目で比較し、学会・国民生活センターの見解も整理します。

肥満症外来、オンライン診療、医療痩身を横並びにして読むための前提

最終更新日:

本ページは医薬品・医療の制度と市場を整理したもので、受診や服用を勧めるものではありません。

体重や体脂肪を医療機関で扱う場合、窓口は大きく三つに分かれます。一つ目は、肥満症と診断された人を対象に、健康保険を用いて薬物療法や栄養指導を行う大学病院・総合病院の肥満症外来です。二つ目は、スマートフォンなどで診察を受け、薬が自宅に配送される自由診療のオンライン診療です。三つ目は、脂肪冷却や脂肪溶解注射などの機器・注射による施術と、内服薬の処方を組み合わせる、対面型の医療痩身クリニックです。同じ「ダイエット外来」という言葉で語られても、制度上の位置づけ、費用の考え方、解約や返金の条件は大きく異なります。

本ページでは、公式サイトで運営医療法人や診療形態を読み取れた七つの自由診療クリニックと、公式サイトで肥満外来を案内している二つの大学病院を取り上げます。比較軸は、運営医療法人(または運営会社)、診療形態、取扱治療の種類、保険診療の有無、初診料・診察料の有無、料金体系と定期配送、解約・キャンセル規定の公表有無という、事実として確認できる項目に限定しています。優劣や推奨の評価は行いません。

また、GLP-1受容体作動薬などを美容・痩身目的で使用することについては、日本医師会、日本糖尿病学会、日本肥満学会、厚生労働省がそれぞれ見解や注意喚起を公表しています。自由診療は公的医療保険の適用外であり、費用、副作用、リスクは医療機関で個別に確認する必要があります。薬剤そのものの承認効能や保険適用条件は、肥満症治療薬・ダイエット関連医薬品の比較表で整理しています。

【比較表】オンライン診療・医療痩身クリニックの事実項目

クリニック名運営医療法人・運営会社診療形態取扱治療の種類(公式記載)保険診療の有無初診料・診察料料金体系・定期配送解約・キャンセル規定の公表
クリニックフォア医療法人社団エムズ(2019年9月設立、22院と会社概要に表記)オンライン診療と対面診療の併用GLP-1注射・内服、SGLT2阻害薬、医療用漢方(防風通聖散)、セチリスタットなど肥満症治療のページに自由診療(保険適用外)と記載オンラインの診察料は1,650円(税込)。条件を満たす再診は無料と記載単品購入・定期配送・3か月/6か月まとめ定期。定期配送あり。配送料は別途次回決済前にマイページから停止できると記載
DMMオンラインクリニック医療法人社団DMH(プラットフォームはDMM。診療は提携先医療機関)オンライン診療GLP-1注射・内服、糖質カット薬、漢方、脂肪吸収抑制薬、サポート薬など公的医療保険が適用されない自由診療と記載診察料0円と記載単月購入・定期便(1/3/6か月ごと)。定期配送あり。配送料550円(税込)発送の2日前まで解約可、解約手数料なし。返品・交換・返金は不可と記載
eLife(イーライフ)elife株式会社が運営。診療は提携クリニック(特定商取引法に基づく表記にウェルネスプラスクリニックと記載)オンライン診療(オンライン完結)GLP-1、SGLT2阻害薬、その他の3区分で案内。薬剤名は公式サイト参照公式サイト参照診察料はお薬代に含まれると記載定期便あり。料金は公式サイト参照定期便は次回決済日の2日前まで解約可。処方確定後の返品・交換・キャンセルは不可と記載
ディオクリニック医療法人社団正恵会、一般社団法人翔慶会(法人概要に記載。院ごとの区分は公式サイト参照)来院型(全国19院)脂肪冷却などの機器施術、脂肪溶解注射、マンジャロ、GLP-1内服薬、管理栄養士の食事指導、内服薬・漢方医療痩身プログラムなどに自由診療と明記公式サイト参照施術ごとの都度払いと、3か月・6か月のコース。定期配送の案内は公式サイト参照公式サイト参照
湘南美容クリニック(医療ダイエット)SBCメディカルグループ(公式表記。院ごとの運営医療法人は公式サイト参照)来院型(292院、2026年10月1日時点の公式表記)脂肪冷却、熱による脂肪細胞への施術、HIFU、脂肪溶解注射、サクセンダ、内服薬、漢方など自由診療(保険適用外)と明記無料カウンセリングを案内。診察料の金額は公式サイト参照部位別・回数別・容量別・パック別の料金表示。医療ローンの案内あり予約システム上のキャンセルページを案内。条件は公式サイト参照
TCB東京中央美容外科(医療痩身)TCBグループ(プライバシーポリシーに医療法人社団メディカルフロンティア、医療法人社団創彩会、一般社団法人メディカルアライアンスを記載)来院型(全国95院と公式表記)医療ダイエット、GLP-1、脂肪溶解注射、脂肪吸引注射などのメニューを掲載保険適用外・自費診療と記載無料カウンセリングを案内。診察料は公式サイト参照公式サイト参照公式サイト参照
ファイヤークリニック(FIRE CLINIC)医療法人ともしび会来院型(銀座院・大阪院)とオンライン診療の併用脂肪冷却、脂肪溶解注射、医療EMS、GLP-1などのダイエット薬、食事療法、ダイエットコーチング公式サイト参照公式サイト参照ボディメイク3か月プランなど。定期配送は公式サイト参照公式サイト参照

2026年10月時点、各社公式サイト・公開資料に基づく。最新情報は各社サイトで確認してください。「公式サイト参照」は、料金や規定が薬剤・院・時期によって異なるため、本表では数値や条件を記載していない項目です。自由診療は公的医療保険の適用外で、費用・副作用・リスクは医療機関で確認する必要があります。

【小比較表】大学病院の肥満症外来(保険診療)の位置づけ

施設名診療科・外来名保険診療に関する公式記載受診の流れ(公式記載)
東京医科大学病院糖尿病・代謝・内分泌内科 肥満外来(2024年4月開設と記載)受診時にマイナ保険証または資格確認書が必要と記載。GLP-1関連薬は美容・痩身目的の治療ではないと明記かかりつけ医がチェックシートを医療連携推進室へ郵送またはFAXし、初診予約を取る流れ
東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科 肥満症薬物療法外来肥満症を対象に、高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかがあり食事・運動療法で十分な効果が得られない場合などの条件を掲載かかりつけ医の紹介状を持参し、糖尿病・代謝内科の初診外来を受診。予約は電話またはWeb

2026年10月時点、各社公式サイト・公開資料に基づく。最新情報は各社サイトで確認してください。大学病院の外来は施設ごとに紹介状の要否や予約方法が異なるため、受診前に各病院の案内を確認してください。料金は掲載していません。

比較表の読み方:運営法人、診療形態、料金体系を分けて確認する

表の左から二列目の「運営医療法人・運営会社」は、誰が診療を行い、誰が契約の相手方になるのかを示す項目です。オンライン診療では、サイトを運営する会社と、診療を行う医療機関が別の主体であることがあります。DMMオンラインクリニックは、公式ページでオンライン診療のプラットフォームサービスであり、運営は医療法人社団DMH、診療は提携先医療機関が行うと説明しています。eLifeも、運営会社はelife株式会社、診療は提携クリニックという構成です。国民生活センターが2023年12月に公表した資料でも、サイト運営事業者と医師(クリニック)のどちらが何を担うのか分かりにくいという相談が挙げられており、運営主体の確認は費用や解約の問い合わせ先を知るうえで基本的な作業になります。

「診療形態」は、来院型、オンライン型、併用型の別です。来院型の医療痩身は機器による施術が中心で、料金が施術ごと、部位ごと、コースごとに設定されます。オンライン型は薬の処方と配送が中心で、料金が薬剤ごとの単月購入、定期配送、まとめ購入といった形で提示されます。同じ「月額」という表示でも、前者は施術の回数に紐づき、後者は薬の配送周期に紐づくため、契約期間と解約条件を別々に読む必要があります。

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「保険診療の有無」は、自由診療か保険診療かの別を示します。表に掲げた七つのクリニックのうち、公式ページに自由診療や保険適用外と明記があるものはその旨を記載し、明記を読み取れないものは「公式サイト参照」としています。保険診療で肥満症の薬物療法を行う場合は、後述のとおり患者要件と施設要件が定められており、自由診療とは入口が異なります。

「初診料・診察料」は、診察そのものの料金の有無です。DMMオンラインクリニックは診察料0円、eLifeはお薬代に含まれるとしており、クリニックフォアのオンライン診療は診察料1,650円(税込)で再診の一部が無料になると記載しています。診察料が無料でも、薬代、配送料、検査費用は別に発生し得るため、総額は申し込み画面で確認することになります。解約・キャンセルの規定については、期限(発送や決済の何日前まで)と、処方確定後の返品・返金の可否が、各社の公式ページで書き分けられています。

各クリニック・大学病院のプロフィール

クリニックフォア

公式の会社概要では、医療法人社団エムズが運営し、2019年9月の設立、22院(東京13院、その他9院)と表記されています。オンライン診療と対面診療の両方を提供しており、肥満症治療は女性向け・男性向けのオンライン診療ページと、対面の肥満外来ページが分かれています。女性向けのオンラインページでは、週1回の自己注射としてマンジャロとオゼンピック、毎日内服のリベルサス、SGLT2阻害薬、医療用漢方の防風通聖散、セチリスタットなどを掲載しています。診察料は1,650円(税込)で、条件を満たす再診は無料と記載されています。料金は単品購入、定期配送、3か月・6か月のまとめ定期に分かれ、次回決済日までにマイページから停止できると案内しています。同ページには、日本で肥満症への承認がない薬が含まれ、重篤な副作用は医薬品副作用被害救済制度の対象外となる旨も記載されています。

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DMMオンラインクリニック

公式ページでは、オンライン診療のプラットフォームサービスであり、運営は医療法人社団DMH、診療は提携先医療機関が行うと説明しています。メディカルダイエットは女性向けと男性向けのページに分かれています。女性向けページには、GLP-1注射としてマンジャロ、ゼップバウンド、オゼンピック、ウゴービ、内服のリベルサス、糖質カットや漢方、脂肪吸収抑制の併用プランなどが掲載されています。診察料は0円、配送料は550円(税込)と案内され、単月購入と、1・3・6か月ごとの定期便があります。発送の2日前までなら途中解約でき、解約手数料はかからない一方、返品・交換・返金には対応しないと記載されています。リベルサスとオゼンピックは2型糖尿病の治療薬として承認されており、肥満治療目的での処方は国内で承認されていないこと、重篤な副作用が出ても医薬品副作用被害救済制度の対象外となることも明記されています。

eLife(イーライフ)

elife株式会社が運営するオンライン診療プラットフォームで、会社情報のページでは、診察から処方、治療薬の翌日配送までオンラインで完結すると案内しています。特定商取引法に基づく表記では、販売業者はelife株式会社、医療機関名は提携クリニックのウェルネスプラスクリニックと記載されています。メディカルダイエットのカテゴリは、GLP-1、SGLT2阻害薬、その他の3区分で示されており、診察料はお薬代に含まれると説明しています。定期便は次回決済日の2日前までに連絡すれば解約でき、処方確定後の医薬品は返品・交換・お客様都合によるキャンセルを受け付けないと記載されています。処方内容と異なる場合や破損があった場合は、到着後7日以内の連絡で交換するという規定も公表されています。

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ディオクリニック

医療ダイエットを掲げるクリニックで、法人概要には医療法人社団正恵会(2019年12月開設)と一般社団法人翔慶会(2020年12月開設)が記載され、各院をどちらが運営するかの区分は記載されていません。院は札幌、仙台、東京5院、関東、中部、関西、広島、福岡など全国19院です。医療ダイエットのページでは、脂肪冷却や電磁場EMS、ハイフなどの機器施術、脂肪溶解注射やマンジャロなどのダイエット注射、GLP-1内服薬、管理栄養士による食事指導、内服薬・漢方を組み合わせた医療痩身プログラムを案内しています。費用は施術ごとの都度払いと、3か月コース(90万円、計12回)、6か月コース(130万円、計24回)が自由診療として税込で掲載されています。機器では赤み、内出血、鈍痛、腫れ、医薬品では低血糖、吐き気、下痢などのリスクが記載されています。

湘南美容クリニック(医療ダイエット)

公式サイトのトップページでは、クリニック数を292院(2026年10月1日時点)と表記しており、美容外科・美容皮膚科を含む総合美容クリニックの一メニューとして医療ダイエットを案内しています。医療ダイエットのページには、脂肪冷却、熱による脂肪細胞への施術、HIFU、脂肪溶解注射、脂肪吸引注射、サクセンダ(公式ページでは自宅での自己注射と案内)、食欲抑制薬や吸収抑制薬などの内服薬、漢方が掲載されています。料金は部位別、1回・セット別、容量別、錠数別に提示され、3〜84回の医療ローンの案内もあります。ページには、当院で行っている医療ダイエットの施術は自由診療(保険適用外)であると明記されています。無料カウンセリングを案内する一方、キャンセル条件は予約システム上のキャンセルページへの案内にとどまり、条件の詳細は公式サイトで確認する構成です。

TCB東京中央美容外科(医療痩身)

公式トップページでは、全国に95院を展開していると表記されています。「医療ダイエット」「痩身・ダイエット」のメニューがあり、関連メニューとしてGLP-1、脂肪溶解注射、脂肪吸引注射のページを設けています。メニューページの上部には、保険適用外・自費診療となる旨の注記が掲載されています。無料カウンセリングを案内していますが、診察料やキャンセル規定の詳細は公式サイト参照としています。プライバシーポリシーには、TCBグループを構成する法人として医療法人社団メディカルフロンティア、医療法人社団創彩会、一般社団法人メディカルアライアンスが記載されており、院ごとの運営法人は公式サイトの案内を参照する形になります。

ファイヤークリニック(FIRE CLINIC)

公式サイトでは、医療法人ともしび会が運営し、銀座院と大阪院、およびオンライン診療を案内しています。名古屋院は2026年3月9日に閉院した旨が掲載されており、お知らせ欄には2026年9月1日付で銀座院への統合に関する掲載があります。取扱いとして、脂肪冷却、脂肪溶解注射、医療EMSの施術、GLP-1やマンジャロ、メトホルミン、SGLT2阻害薬、サノレックス、オルリスタット、防風通聖散などのダイエット薬、食事療法、肥満遺伝子検査、医師と管理栄養士によるダイエットコーチングを掲載しています。オンライン診療は公式LINEとビデオ通話で全国から受けられると案内され、受付時間は10時から19時です。料金はボディメイク3か月プランなどのコース形式で、診察料やキャンセル規定は公式サイトで確認する構成です。

東京医科大学病院 糖尿病・代謝・内分泌内科 肥満外来

公式の診療部門案内によれば、2024年4月に開設された肥満外来で、肥満症に対するGLP-1関連薬(ウゴービ、ゼップバウンド)による治療を行っています。閉塞性睡眠時無呼吸症候群は循環器内科のSAS外来、代謝機能障害関連脂肪肝炎は消化器内科の脂肪肝外来が担当すると整理され、最終的な適応判断は各専門外来で行うとされています。ページには「GLP-1関連薬は美容・痩身目的の治療ではありません」と明記されています。予約は本人が直接取るのではなく、かかりつけ医がチェックシートを医療連携推進室へ郵送またはFAXで送り、診療科と初診日が決まる流れです。当日は診療情報提供書、お薬手帳、マイナ保険証または資格確認書などの持参が案内されています。

東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科 肥満症薬物療法外来

公式ページによれば、ウゴービ(一般名セマグルチド)の承認に伴って新設された外来です。対象は肥満症で、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のいずれかがあり、食事療法・運動療法で十分な効果が得られないことに加え、BMIが27以上で肥満に関連する健康障害を2つ以上有するか、BMIが35以上であることが条件として示されています。治療の流れとして、処方の6か月以上前から栄養相談を2か月に1回以上行うこと、投与は68週間を目安に中止することなどが記載されています。受診はかかりつけ医の紹介状を持参して糖尿病・代謝内科の初診外来から始め、予約は電話のほかWeb予約でも可能と案内されています。

保険診療の肥満症外来と自由診療は、対象となる人の条件が異なる

厚生労働省保険局医療課長通知(令和5年11月21日、保医発1121第2号)は、肥満症の効能・効果を有するセマグルチド製剤(ウゴービ)の最適使用推進ガイドラインの策定に伴う留意事項を示しています。この通知では、対象を肥満症に限り、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のいずれかを有して食事・運動療法で十分な効果が得られない患者としています。さらに、BMIが27以上で肥満に関連する健康障害を2つ以上有する場合、またはBMIが35以上の場合に使用できるとされています。有効性・安全性の情報が蓄積されるまでは、恩恵を強く受けると期待される患者に絞り、副作用に対応できる一定の要件を満たす医療機関で使用するという考え方も示されています。

施設要件としては、内科、循環器内科、内分泌内科、代謝内科、糖尿病内科のいずれかを標榜すること、日本循環器学会・日本糖尿病学会・日本内分泌学会のいずれかの専門医である常勤医が治療に携わること、常勤の管理栄養士による栄養指導体制があることなどが、診療報酬明細書の摘要欄の記載事項として挙げられています。大学病院や総合病院の肥満症外来が、紹介状やかかりつけ医を通じた予約を求めるのは、こうした患者要件・施設要件の確認と、栄養指導を継続する体制を前提としているためと読み取れます。

一方、自由診療のクリニックは、保険診療の患者要件や施設要件の枠外で運営されます。そのため、受診できる人の範囲、使用される薬剤、費用の決め方は医療機関ごとに異なり、診察や処方の判断は医師に委ねられます。肥満症治療薬の適応外使用や自由診療に関する公的な見解は、次の節で整理します。治療薬ごとの承認効能と保険適用条件の比較はpage-02の比較表を参照してください。

GLP-1の適応外使用をめぐる学会・医師会・厚生労働省の見解

GLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病または肥満症の治療を目的に承認された医薬品です。美容・痩身・ダイエットを目的とする使用は承認された効能・効果の外にあたり、これが自由診療として行われている実態があることを、関係団体は繰り返し指摘しています。以下は、各団体の公式ページで確認できる範囲の整理です。

日本医師会は、2022年3月2日の定例記者会見で今村聡副会長が、自由診療のオンライン診療で糖尿病治療薬の適応外使用を「GLP-1ダイエット」として広告し処方する医療機関が増えていることを問題視しました。健康な人が医薬品を使用することにはリスクがあり、医薬品の適正使用の観点から禁止すべきという立場で、治療目的を外れた使用は医の倫理に反するとも述べています(日医on-line 2022年3月20日掲載)。2023年10月25日の会見では宮川政昭常任理事が、GLP-1製剤がダイエット目的の薬として不適切に使われることへの強い懸念を示し、自由診療の同意書によって有害事象が表面化していない可能性や、ダイエット目的で副作用が起きても医薬品副作用被害救済制度の対象外となる点への注意を呼びかけました(日医on-line 2023年11月20日掲載)。

日本糖尿病学会は、「GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解」を公表しています。同学会のページによれば、掲載は2020年7月9日で、2023年4月12日と2023年11月28日に改訂されています(日本糖尿病学会の見解ページ)。日本肥満学会は、肥満症治療薬に関するステートメントを2023年11月25日に策定し、2025年4月10日に改訂しています。学術情報のページでは、健康障害を伴わない肥満(肥満症と診断されない場合)には用いるべきではなく、低体重や普通体重の人に美容・痩身・ダイエットなどの目的で用いる薬剤ではないという整理が示されています(日本肥満学会の学術情報ページ)。

厚生労働省は、2型糖尿病治療薬の美容・痩身目的での使用による健康被害に注意を促す専用ページを設けています。同ページでは、美容・痩身・ダイエット目的での安全性と有効性は確認されていないこと、インターネット等での個人間売買は違法であること、美容・痩身目的の適応外使用で重篤な健康被害が生じた場合には、医薬品副作用被害救済制度の救済給付を受けられない可能性が非常に高いことが説明されています(厚生労働省の注意喚起ページ)。さらに令和8年6月16日付の通知「GLP-1受容体作動薬及びGIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用について」では、2型糖尿病や肥満症の治療以外の美容や痩身を目的に使用されている実態が確認されているとして、医療機関や薬局に適正使用を求めています(厚生労働省の通知)。

これらの見解に共通するのは、自由診療そのものの可否ではなく、承認された効能・効果の外での使用に伴う安全性と有効性の未確認、供給への影響、救済制度の対象外となる可能性を指摘している点です。本サイトは特定の治療を勧めるものではなく、受診を検討する場合は、処方の根拠、副作用への対応、救済制度の扱いを医療機関に直接確認することが前提になります。

国民生活センターが公表しているオンライン診療ダイエットの相談事例

国民生活センターは、痩身目的のオンライン診療について、これまでに三度の注意喚起を公表しています。2020年9月3日には、痩身をうたうオンライン美容医療で、糖尿病治療薬を痩身目的で消費者に自己注射させるケースがあるとして注意を促しました。事例では、無料カウンセリングの後に医師の診察がないまま治療費を支払い、海外から常温で届いた薬剤を自己注射して吐き気などの副作用が出たとされています(国民生活センター 2020年9月3日公表)。

2023年12月20日の公表では、ダイエット目的で数か月分の糖尿病治療薬が処方される定期購入トラブルが目立つとして、痩身目的等のオンライン診療に関する相談件数を示しています。同資料によれば、相談は2021年度が49件、2022年度が205件、2023年度は10月31日までのPIO-NET登録分で169件でした。相談例には、基礎疾患の問診が不十分なまま処方薬を勧められた、飲み合わせや副作用の説明がなくキャンセルもできない、処方薬が意図せず定期購入になっていた、サイト運営事業者と医師のどちらが何を担うのか分かりにくい、といった内容が含まれます(国民生活センター 2023年12月20日公表)。

最新の注意喚起は2026年6月23日の公表で、ニキビ、AGA治療や痩身目的等のオンライン診療について、処方薬の定期購入にかかるトラブルが目立つと報告しています。痩身目的のGLP-1受容体作動薬の事例では、20歳代女性が週1回の自己注射を指示され、体に合わず体調が悪化したあと、知らないうちに定期購入になっていたと判明し、クリニックからは今回分はキャンセルできず次回以降を解約すると伝えられたと紹介されています。同資料のアドバイスは、処方薬の内容や副作用などのリスクについて医師から十分な説明を受けること、糖尿病治療薬や肥満症治療薬は痩身・ダイエット目的での安全性と有効性が確認されていないこと、定期購入や長期処方の解約条件を事前に確認すること、困った場合は消費生活センター等に相談し、症状が出た場合は速やかに医療機関を受診することです(国民生活センター 2026年6月23日公表)。

相談窓口として案内されているのは、全国共通の消費者ホットライン「188」です。比較表の「解約・キャンセル規定の公表」列は、まさにこれらの相談で論点になった項目に対応しており、定期便の停止期限や、処方確定後の返品・返金の可否を契約前に自分で読み取るための手がかりとして設けています。

オンライン診療指針上の要件と、ダイエット目的の診療に関わる点

厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」は平成30年3月に策定され、令和8年4月に改訂されています(令和8年4月2日付の医政発0402第3号で周知)。同省のオンライン診療ページによれば、令和8年4月1日施行の医療法上のルールについては、別にQ&Aで解説されています(厚生労働省「オンライン診療について」)。

患者向けのページでは、受診に関わる主な点として次のように整理されています。オンライン診療は触診などができないため医師が得られる情報が限られ、対面診療と適切に組み合わせて実施することが基本で、原則としてかかりつけの医師が実施するとされています。メールやチャットのみでの診療はできず、初診から麻薬や向精神薬は処方されません。基礎疾患などの情報が把握できていない場合には、特に安全管理が必要な薬も処方されません。医師がオンライン診療は適切でないと判断した場合には利用できず、本人確認のためにマイナンバーカード、運転免許証、パスポートなどの本人確認書類が必要です。支払い方法は医療機関によって異なるため、事前に確認する必要があります(厚生労働省「オンライン診療について 国民・患者の皆様へ」)。

ダイエット目的のオンライン診療を読む際には、この指針が、どの医療機関がどの範囲で診療責任を負うのか、問診や本人確認をどう行うのか、処方薬の管理をどうするのかを考える土台になります。サイト運営会社と提携医療機関が分かれている場合は、診療を行う医療機関名を特定商取引法に基づく表記や運営者情報で確認できます。オンライン診療制度の詳細は、遠隔医療全般を扱う遠隔医療・オンライン診療の業界レポートでも解説されています。

医療広告ガイドラインの位置づけと、本ページの表の読み方

医療機関のウェブサイトは、医療法に基づく医療広告の規制の対象です。厚生労働省の医療広告規制のページには、医療広告ガイドラインやQ&A、広告可能事項に関する通知、ウェブサイトの事例集が掲載され、虚偽や大げさな表示があった場合の情報提供窓口として医療機関ネットパトロールが案内されています。契約や解約に関する質問は、消費者ホットライン188が窓口として示されています(厚生労働省「医療広告規制について」)。

前掲の令和8年6月16日付の通知は、医療に関する広告について、承認された広告可能事項以外の、国内未承認または適応外の医薬品を用いた自由診療の広告は原則として禁止されていること、ウェブサイト等で例外的に認められる場合でも、問い合わせ先の明示や、治療内容、費用、リスク、副作用などの情報提供が必要であること、虚偽の広告や他院との比較による優良誇示、誇大な広告も禁止されていることを整理しています。

本ページの比較表は、各医療機関の公式サイトに掲載されている事実項目を並べたもので、医療機関の広告ではありません。順位付けや優劣の評価、効果の説明、利用者個人の感想は掲載していません。表の「公式サイト参照」は、料金や規定が薬剤・院・時期によって異なる項目です。美容医療全般の費用や契約上の注意点は、美容医療の費用と選び方を扱うレポートも参考になります。

受診を検討する前に、公式サイトで確認しておきたい項目

比較表の各列は、そのまま公式サイトで読み取れる項目の一覧としても使えます。条件として整理すると、次のような点が確認対象になります。

  • 診療を行う医療機関の名称と運営医療法人が、運営者情報や特定商取引法に基づく表記に記載されているか。
  • 診療形態が来院型、オンライン型、併用型のいずれか。オンライン型の場合、初診から対応するのか、対面受診が必要かの条件。
  • 保険診療か自由診療か。自由診療の場合は、公的医療保険が適用されないこと、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性についての説明の有無。
  • 診察料のほか、薬代、配送料、検査費用など、総額に含まれる費目。
  • 定期配送やコース契約になっているか。解約の期限(発送や決済の何日前まで)、処方確定後の返品・返金の可否。
  • 副作用が出た場合の連絡先と、緊急時に近隣の医療機関を受診するよう案内されているか。

これらは受診を促すための項目ではなく、公式サイトの記載を読み比べる際の物差しです。判断に迷う場合や、契約後にトラブルが生じた場合は、消費者ホットライン188で最寄りの消費生活センターを案内してもらえます。比較の前提となる制度の全体像は法規制と広告ルールのページ、費用構造や事業モデルの整理はビジネス構造のページで扱っています。

一次情報の確認先

本ページで参照した官公庁・学会・公的機関の資料は、次のとおりです。いずれも最新の掲載内容は各ページで確認してください。

まとめ:次に読むページ

保険診療の肥満症外来は、患者要件と施設要件を前提に、栄養指導と薬物療法を組み合わせる枠組みです。自由診療のオンライン診療や医療痩身は、運営法人、診療形態、料金体系、解約規定が各社で異なり、国民生活センターは定期購入や解約をめぐる相談が続いていると報告しています。GLP-1の適応外使用については、日本医師会、日本糖尿病学会、日本肥満学会、厚生労働省がそれぞれ見解や注意喚起を公表しており、承認された効能・効果の外での使用であること、救済制度の対象外となる可能性があることを、受診前の前提として押さえておく必要があります。

次に読むページとして、薬剤ごとの承認効能と保険適用条件を知りたい場合はpage-02(肥満症治療薬・ダイエット関連医薬品の比較表)、広告表現や定期購入の法的な整理を知りたい場合はpage-06(法規制と広告ルール)、自由診療の価格構造や収益モデルを知りたい場合はpage-07(ビジネス構造・収益モデル)が対応しています。サイト全体の構成はトップページ、情報の取り扱い方針は編集方針で確認できます。

本サイトは公開情報を整理した業界レポートであり、特定の医薬品・医療機関・食品・サービスを推奨するものではありません。医薬品の使用は医師・薬剤師の判断に従ってください。GLP-1受容体作動薬等の自由診療は公的医療保険の適用外で、費用・副作用・リスクは医療機関で確認してください。機能性表示食品は疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。効果には個人差があります。